数日後、入学してくる野球部の新入生たちに
校章を渡したり
住民票の異動の手伝いをした
この前入寮してきた子達は
もう、お互いに名前で呼びあって
すっかり打ち解けていた
来てくれてありがとうね、
と声をかけた
がんばります！練習楽しいです！
高校来たんやなって感じします！
口々に言ってくれた
応援しとるよ、そう言って校章を手渡す
これ、どうやって使うんですか？と聞かれて笑う
制服着たら胸につけるんよ、と言う
練習着の背中には大きく印字された名前
新入生の証だ
みんなの名前絶対覚えるけんね、
そう声をかけるとありがとうございます！と
言ってくれた
仕事が終わり
車に向かって歩いていると
数日後、3年生になる仲良しの部員たちと出会う
おー!遠征お疲れ、お帰り!とみんなに言う
おもろかったわ、いっぱい試合出来たしな
なんか手応えあったわ、色々
本気でやるで
すごい、応援するけん
icoちゃん去年も応援来てくれたけど
今年も来てくれるやろ?
行くよ、絶対行く
俺、絶対メンバー勝ち取るからな
応援する!試合絶対見たいけん、
その時、風が吹いて髪の毛を耳にかけた
それや、それ!
あるひとりが突然大きい声を出す
何?
icoちゃん、そうやって反対の手で髪の毛耳にかけるやん
それめちゃめちゃ色っぽいってずっと思てんな
大笑いしてしまう
今まで意識すらしていなかったけれど
左の耳にかけるときは右手を
右の耳にかけるときは左手を確かに使う
そんなことまで見ている高校生
観察眼がすごいなと心底思った
ありがとう、もっと自分を磨きます
と、お礼を言った
はよ学校始まらんかな、色々話したいことあんねんで
昼休みないとおもろないねん
彼女の話はよ聞いてや
みんなが口々に言ってくれる
バイバイ、またねと言って手を振る
天使の輪出来てるで!髪!
坊主頭のかわいい17才が教えてくれる
ありがとうー、と言う
ピンク色の花びらが風に舞う
桜は学校という場所にもとてもよく似合う
