ラ ム レ ー ズ ン

前 だ け 向 い て ろ 

4月、あおいそら

新学期が始まった

桜の花びらは落ちてしまったけれど今年も春がやってきた

 

この学校で迎える3度目の春

いっしょに入ってきた1年生たちはもう、最終学年になった

 

靴箱に貼られている名前や

教室の前に掲げられている担任のネームプレートを見て一喜一憂している

 

春の光景は時代が変わっても変わらない

 

始業式に向かう生徒たち

icoちゃん席変わってるやん!icoちゃーん!

閉めた窓の向こうからでもじゅうぶんに大きい声が聞こえてくる

そのたびに振り向いて手を振る

 

長期休みが終わる度に思う

生徒たちの声が響いてこその学校だと

 

購買で、棚卸しのデータをPCに打ち込んでいると

入れ替わり立ち替わり仲良したちがやってくる

 

ライミとカシュは

新しくやってきた先生が早くも付き合ってそう、などと言う

話を聞いていると、本当にそうなのかもと思えるような雰囲気で

まあ、そんなこともあるかもしれんね、などと思ったことを素直に私も言う

人間だもんね!男と女に時間は関係ないよね!

 

春休みの間も、恋愛相談を電話でわたしにしてくれていたふたり

少し大人になったように感じてますますかわいいなと思った

 

マスク取った方が可愛いよ、

と言うとやった!嬉しい!ときらきらな笑顔で笑っていた

 

女の子が去って行くと入れ違いで野球部の男の子ふたり

早速、彼女の束縛の話から始まって大笑いする

束縛されるうちが花よ、と言う

もうひとりは、眉毛をいじっていて

眉毛どうしたん、と言うと

え、やっぱicoちゃん分かる?と驚くから

当たり前よ、すぐわかるわ遠目からでも朝思ったもん、と言う

 

やばいな・・・どないしよ

○○に怒られるよな

顧問の名前を口にする

 

怒られ決定、だって禁止じゃん眉毛いじるん

笑いながら言う

なんで眉毛いじりたくなったん?と聞くと

3年なったし、かっこよくなりたかってんと答える

 

じゃあ、○○に怒られたらそう言い、と言うと

正直すぎるやろ・・絶対言えへん怖すぎて

と怯えている

 

そういう気持ちはわかってくれるよ、

みんな高校生だったんだし

 

と言って立ち上がって

ほら、あんたら準備行き、また来週みんなでおいで

と言うと渋々立ち上がる

 

ドアのところまでふたりの背中を押していく

 

春休み見んうちにまた色っぽくなったやん、とひとりに言われる

え?ありがとう そうかな 

ええ感じやで、またな!とまたお得意の♡マークを作って走って行った