ラ ム レ ー ズ ン

前 だ け 向 い て ろ 

冬が終わるときの

やるべきことは全部やった金曜日は忙しく慌ただしく過ぎていった

お昼ごはんは、お吸い物の中に温めた絹豆腐を沈めて机で食べた、ただそれだけなのに美味しくて最近気に入っている

木綿豆腐と絹豆腐、どちらもそれぞれに美味しくて栄養価は木綿の方が高いみたいだけど絹の軽やかさも気に入っている

隣の机の同僚の女の子はすき家の牛丼、その隣の上司も同じく

甘辛く煮詰められたお肉のいい薫りが漂うそんな中で真っ白な豆腐をただ食べるそんな正午過ぎ

新しいメンバー5人が加わって始まる朝だった

ひとりひとりの挨拶に大きな拍手が巻き起こる、拍手されることって人生に何回あるのかなと思う、どちらかというと自分ではない誰かにすることの方が多い

少し残業をしてから、スーパーに立ち寄ってかぼちゃと納豆、母が好きなおはぎを買った

お店の出入口で地元が同じ同級生のある女の子に会った

ひさしぶり、のひの字が私の口から出ようとした瞬間、嫌々視線を反らす彼女に週末の仕事帰りで疲れを極めた気持ちが大きく更にぐらついた

遠い昔中学生の3年間、私はほぼ一人きりで、休み時間は職員室で先生と話して過ごしていた

グループ分けがあれば溢れたし、楽しいはずの行事もほとんど覚えていないくらい何の思い出もない

忙しい先生に気を遣わせないように、隣に椅子を置いて昼休みは本を読んだりぼうっとしていた

先生は、本もいいけど私の話も聞いて、と恋人と喧嘩したりデートしたりした話をしてくれて、時には恋愛相談までされていた

決して口を割らない中学生の私を思いやってたくさん自分の話をしてくれていたんだと思う

先生達いわゆる大人とする、自分の周りの子たちと全然違う会話と、放課後のチャイムが日々の楽しみだった

今日出逢った彼女は、私を苛めていた子の一人だった

いじめっていう言葉が正しいのかわからないけど、それに似合う言葉が他に見つからないからなんとなく

長い時間が経ったものの、彼女に、言えはしなかったけど、ひさしぶり!と言おうとすることが出来た自分に今夜はokを出した

俺はお前を全肯定、好きな人がいつも言ってくれた言葉が心に響く夜は、金曜日を精いっぱいやったからそれでいいってことにして、窓を開けてつめたい風を浴びながら週末の嬉しさを感じている