ラ ム レ ー ズ ン

前 だ け 向 い て ろ 

友達になろや

16日にそっちに行くわ。おるやろ?

まるで恋人のような文面、相手はこの春卒業していった男の子

少し前に日記にも書いた、手紙を届けた子

えー!来るん?嬉しい!気をつけておいでやあ

そう返した

新幹線と車を乗り継いで、はるばる数時間かけてやって来るらしい

私は、お菓子の詰め合わせを急いで準備し今日を迎えた

iちゃんに会いに行くわ

その一言が嬉しかった

卒業おめでとうも言えずに見送ってしまったことをずっと気にしていた

来客の姿が見える度に落ち着かない

お昼前、ついにスーツ姿のあの子が現れた

黒い靴をきれいに揃えて、ちょっと恥ずかしそうにこっちを見て笑って、応接室に消えていった

なかなか出てこない

久しぶりに恩師に挨拶したり

近況報告だってたくさんあるよね

そのうち、いつもの時間になって私は購買に行った

ひとしきりパンが売れて、みんながごはんから戻ってくるのをひとり待っていると、

外からドンドンと窓を叩く音

振り返ったら、彼だった

ひさしぶり、iちゃん、来たで、と言いながら笑っている

お帰り、と言った

忘れないうちにお菓子を渡す

今からみんなとちょっと一緒に練習するから、と言う

少しの時間で来てくれたのか、想い出の購買

この1年の経験が、表情と話しぶりにきちんと見えていた

成長していた、間違いなく

 

昨年の春、転職したばかりで右も左も分からず顔馴染みの先生も生徒も誰もいないそんな初期に

友達になろやiちゃん、と言ってくれたことを今でも覚えている

友達って笑

ひさしぶりに後輩と練習して、お互いに最高の時間だったね

楽しい時間はあっという間、

彼はあの高校生時代と変わらない優しい笑顔で手を振って車に乗り込み帰って行った

お菓子の箱につけた手紙はどこで読んでくれたかな

iちゃん、ありがとう

mailが届いた

厳しい世界で戦うあなたを、これからもずっとずっと応援するよ