ラ ム レ ー ズ ン

前 だ け 向 い て ろ 

冬苺

私には、見守っている子(ケンタ:仮名)がいる

 

理由は、指導者との些細な意見の食い違いだったそう

一定期間練習に参加するな、そう言われて

ケンタはそれからずっと掃除をしていた

放課後になって部活が始まると

練習着を着て溝やごみ捨て場を綺麗にしている姿をよく目にする

この前は、長く伸びた木の枝を切っていた

ものすごく長い枝を引きずって歩いているケンタに

帰り際出会った

 

まだ練習出られんの?

そうやな

そうか、

この枝に名前つけたで

何て付けたん?

iちゃん

言うと思ったわ

 

思いはあるんだけど、なかなか話すタイミングが掴めないらしい

そうだろうなと思う

 

年が明けて、初めての練習が終わり

引き上げる指導者にケンタが声をかけた

場所は事務室の真ん前

ガラス越しに全てが見える状態で2人の話が始まった

 

 

ケンタは一生懸命自分の心の内を語りかける

先生は、ひとしきり聞いたあと

自分が彼を見ていて感じるところ

引っ掛かっているところ

それを伝え始めた

ケンタも、それに対して更に訴える

2人の語気がどんどん強まっていく

もう、30分以上話していたと思う

 

お互いの思いが繋がってきたと感じた頃

ケンタがボロボロ涙を流し始めた

場が和むのがガラス越しにわかった

 

ありがとうございます、失礼します

ケンタが大きい声で言って深く一例した

その次の瞬間

ケンタの頭をポンポンと軽くたたいて

ぎゅっと抱き締めた

 

仕事中だったけど

泣きそうになってしまった

 

2つの気持ちが伝わり合う瞬間を見ることができて本当によかった