ラ ム レ ー ズ ン

前 だ け 向 い て ろ 

カレーライスと、ここだけ

力が出ないアンパンマンみたいになる週末、今日もひっそりと過ごした

朝はオートミールも合わせて白いごはんも食べた、最近肌が艶々しているのは、3時間近く連続で眠れるようになってきたことと週末の朝にしっかりお米を食べるようになったことが原因だと思う

あとは変わらず目玉焼きを野菜と豆腐の味噌汁に落として、もうひとつ卵をぐつぐつ15分かた茹でにしてから珍しくケチャップをつけて食べた、オムライスが食べたいと思っているからケチャップを恋しく感じたのかも

納豆は相変わらず2パック、大豆イソフラボンを摂りすぎなのはよくないと言われるけど好きなものを我慢する方が私の場合はよくないから気にしていない

甘酒を飲んで落ち着く朝8時、ぼんやり窓の外を見てここ最近にしては暖かさが際立っていることに嬉しくなる

もう読まない本を15冊くらい段ボールに詰めて発送する準備を済ませた、ここ1年のうちに買った本がほとんどで、2023年の自分が撰んだ本は一生を共にしたいものじゃなかったんだなと思い知ってガムテープで蓋をした、2024年の選書はどうかな

嫌なことであってもずっと残して置きたかったことを時間がある土曜日の夜に書き残して冬を終える準備としたい

私は2005年に23歳で結婚して2007年に離婚した、その時のことは思い出したくもないけど、当時の夫の口癖は思ったことあるなら言え、イライラする、で、私の作った料理をいかにも美味しくなさそうにじろじろ見て点検しながら食べるのがとても嫌だった、火もきちんと通しているし、何度も繰り返し作っているからべらぼうな味付けでもないのに

料理をするのがどんどん嫌になって、出来あいのものを買って帰ると手抜きと言われ、帰り道に酒を買って帰る労りもないのかと追い討ちをかけられた

元夫は完全なアル中で私が帰って来る時間になると外にあった空き缶入れには大量のまだ冷たい缶が入れられていた、私は何も気付いていない馬鹿だと思っていたのだろう、私は私で、気付いていないと思っている馬鹿な男だと蔑んだ目で見ていた

思ったことを言わないのは、言っても建設的な会話が成り立たないからで、暴力を振るわれるだけだったから

対等に話が噛み合うのなら思ったことを言う、だけど相手の持っている下らない正論を振りかざしてお前は馬鹿だと言われるだけ、奴隷のような扱いを受けるだけ、そんな状態で思ったことなど言えず、家が近づくと具合が悪くなる日々は続いた

思ったことを言うのが大好きだったのは父方の祖母で、幼い頃から私の母にひどい言葉をたくさん浴びせる姿をこの目で見てきた

私が幼いから理解していないとでも思っていたのだろう、愚かな婆さん、馬鹿にするのもいい加減にしろよと心の中で早く人生を終えてほしいと願っていた

私は母を守りたくて、なるべく祖母に会わない手段を選び年末年始の挨拶くらいしか父の実家に行かず、そこでも決して必要以上の会話をしなかった

弟と妹は溺愛され、長女の私は可愛げがない、と言われたけどそれで結構、と思っていた

母も、事あるごとに「思ったことは全部言わないと気が済まなくてね」から始まる嫌味を浴びていた、思ったことを言わないと気が済まない人ってこんなに人を追い詰めるんだなと幼少期に感じながら成長して、はたちを過ぎて結婚した相手がまたそんな奴で、私は自分の心の目をどこまでも恥じた

暴力を振るったあとだけ気持ち悪いほど優しくなり、私が家を出ていこうとすると包丁を出してきて死のうとする変な男との暮らしは限界だった

親にやっとの思いで打ち明けて双方の親を交えて離婚話をした席で、子どもも出来なかったし、嫁である私は一向に懐かなくて可愛くなかったとあっちの両親に言われた、子どもがほしいと思ったことは一度もありません、という言葉も飲み込んだ

愛犬と、20万全額自己負担で買わされた大きな冷蔵庫だけは意地でも持って帰ると決めて二度と戻りたくない家を出た、なかなか渡してくれなかった離婚届を夜の駐車場に呼び出されて渡したいと言われた時は、警察官の男友達の大きい車に乗せてもらって受け取った

そのまま入った夜のファミレスで、離婚成立おめでとう、俺と結婚したらよかったなとご馳走してくれたハンバーグの美味しさと彼の優しさをいつまでも覚えている

月日は流れて、この前まで働いていた学校で受けたパワハラの元凶になった女上司からも、思ったことは言わないと分からないでしょ、だから私は思ったことは言わないと気が済まないからあなたに全部言うのと言われた

何度か言ったけれど変な持論でねじ伏せられて試合にもならなかった、「自分の気を済ませるために思ったことを言いたくてたまらない人」にまた出会ってしまったなと感じた

離婚してから10年ちょっとの間好きだった人とはじめて食事に行ったとき、店員さんに対してありがとうを言わない姿と、折々に見せるお店の人への態度の冷たさを見て、ああ今ここが潮時か、と100年の恋がようやく冷め始めるのをしっかりと感じた

食事を持ってきてくれた時、お会計のあと、ありがとうとごちそうさまを伝えるのは基本中の基本だと思っているから

どんなに私には優しくても、第三者への優しさが皆無なのはどうしても無理だった

そして私は40を迎えて確かに恋をして、昨年の秋はじめてふたりで一緒に焼肉に行った

彼は、テーブルに乗りきらないくらいのお皿を持ってきてくれたアルバイトの女の子に、ふたりでこんないっぱい頼んでごめんな、ありがとうと目を見て言った

お会計の時、レジを打ってくださった店主さんには、旨かったです、ごちそうさんでしたと飾り気なく言った

夜道、ごちそうさま、ありがとうと言うと私の目をまっすぐ見て笑って、旨かったか?と聞いた

美味しかった、ふたり一緒だったしもっと美味しかった、ごちそうさまでしたと言うと、それならよし、ちゃんと食えと言って頭をぽんとしてくれた

人としてどうありたいか、ということ

言えない人にも想いはあるということ

ねじ伏せたり押し付けたりするのが心であってはならないこと

そういうものを改めて考えていた3月で、もうすぐ冬と春の分岐点がやってくる

残りのライフいつ終わるかなんてわからないからこそ、好きな人にだいすきって伝えながら見送りたい

もうあとすこしで簡単には会えないところに行ってしまういとしい人よ、ありがとう、私の気配だけ荷物に入れて連れていってね